娘×ヅカ

昨年の12月に来年の娘。のミュージカルは宝塚と絡むらしい、手塚治虫リボンの騎士」が題材らしい、という情報が流れてから9ヶ月。その当時の危惧などもはねのけ、今日立派な大成功の千秋楽を迎えたと聞きました。


実は最初に情報を聞いたときから気になっていたことが。


元々men's6が娘。に本格的に興味を持ったのは、吉澤ひとみさんがメインとして扱われた曲(そして5期メンバーのデビュー曲ですが、当時はそんなに気にも留めず)の発売からでした。

当時としては画期的な「娘。なのに男役しかもメイン」という設定。PVや歌詞もあたかも宝塚歌劇団を意識したような構成に、当時の自分は激しく動揺しました。確かに吉澤さんは男っぽい立ち回りが似合いそうでかっけ〜し、そんな言動も目立つけれど、それを作品にしてしまうのか、という心情はかなりありましたね。


そんな当時の自分の胸の内を、ミュージカル胎動という情報から思いだしていました。


ここからは自分の勝手な妄想&憶測です。



今回の劇で座長的役目を務めた吉澤ひとみさんですが、宝塚の演技を稽古し披露するにあたり、この当時のことが頭をよぎったのでは無いかと想像しています。
この曲以降自分の立場を見失い、娘。内で他メンバーとふれ合うことが少なく半ば孤立状態になって体重増、という時期を経てきたことは、観ていたこちらには痛いほど伝わっていました。フットサルと知り合い仲間を想う気持ちを復活させた吉澤さんは「浪漫」以降劇的に進化していきましたが、まだ自分の中で“男役”と言うことに課題を感じていたと邪推します。
しかし、自分の感じていた殻を「リボンの騎士」によって破壊され、適役と絶賛されたリーダーには、また1つ大きな自信が出来たと思うし、更なるメンバー愛も培われてきたと信じています。


今回の劇で卒業する小川麻琴さん。彼女もやはりミスムンではデビューしてすぐのヒロイン大抜擢でした。もしかしたら彼女は配役オーディションの時、主役サファイアまたは王子フランツ役を本気で狙っていたと思います。自分の持っているチカラに対する自信。宝塚好きも絡んでいるでしょう。
しかし王子はトリプルキャストという主催側の意図もあって断念。サファイアはライバル高橋さんに決定。
小川さんはそこで腐る訳でもなく、「もっと勉強してパフォーマーとしての腕を上げたい」という気持ちに傾いたのでは、という憶測を自分は立ててしまいました。今までならばそんな気持ちにはなれなかったでしょうが、吉澤さん同様輝きを失った時期を経ていることと、かつてより紺野さんから聞かされていたであろう娘。脱退の件や、加護さんのことももしかしたら頭をよぎったかもしれません。
今、自分にはナイロン役として何ができるのかそして今後は何をしようとしているのかを追究したとき、一旦娘。を離れて勉強しまた披露したい、芸能界に籍を残すことは自分へのプレッシャーとして捉えたいという決断に至ったのでは。


今回の劇で主役を務めた高橋愛さん。彼女は純粋に宝塚歌劇を愛し続けていました。歌って踊って重要なポジションを任されるようになっても、「そこから先」に進めない気が(men's6の感覚だけですが)感じられていました。そんな時に舞い降りたまたとない幸運。人生の内でここまで劇中にのめり込む生活は送ってこなかったでしょうし、また苦痛に感じても乗り越えられるだけの愛が彼女の舞台上の涙に表れていると思います。そんな彼女を頼もしく思うメンバーが後ろで見守っていたからこそ、その気持ちにも応えたいという感情が劇場を包み込んでいました。
男役女役と養った経験は誰よりも光り輝く貴重なモノ。大切にするだけでなく、もっと上を目指すステップにしようと模索している最中なのではないでしょうか。目に見えたライバル小川麻琴が相手ではなく、自分自身がライバルなんだという自覚の元に。


今回の劇で難しい2役を使い分けた新垣里沙さん。思い出のデビュー曲との世界観が実は明らかに違うことも認識しながらの舞台でしたでしょうが、表現し伝えるコトに対して自信を深めつつある今、リアルタイムでその評価を実感できたこの舞台での経験が、今後の彼女の動きを更にオーバーにさせるのでは(笑)。しかし彼女は、同期2人が今後いないことを誰よりも強く感じています。今年は確実に新垣さんにとって飛躍のチャンスの年。演技・歌唱に自信を付けた彼女が、既にレコーディングが済んでいるであろう11月発売の新曲でどのような位置づけをされているのかが楽しみです。


今回の劇で新垣さん・亀井絵里さんとともに「三騎士」を演じる予定だった紺野あさ美さん。自身の受験スケジュールの都合上結果的に「二騎士」にさせてしまいましたが、声の出し方や舞台への取組み方など、序盤だけでも稽古に参加できたことは非常に意義のあることだったと思います。久々にデビューしたてのあの頃も思いだしたのでは。彼女は今日は観劇されていたのでしょうか‥。


初めてミスムンを聴いた時の衝撃は、吉澤さんとデビューしたての5期メンバーにとっても大きかったと思います。5年前のあの時があったからこその今。軽く運命的なモノさえ勝手に感じてしまっています。


これが、men's6なりのミュージカルレポということで。