躊躇

スルリと手のひらから逃げていった優勝のタイトルを追い求めて3日後。
あの時の絶好のコンディションとも言えた曇天はカゲもカタチも無く、朝から臨海部を焦がし続けていました。
対戦相手がどうなるのか気が気でなかった自分は、会場1時間前から直射日光と戦っていました。日焼け止めを首筋に塗りたくり、絶対にへこたれないキモチが熱波に勝っているような気まで。


これから夕方まで戦闘モードのGatasに負けたくなかったのかも。


東門に飛び込み真っ先にエントリーの掲示板に。
…???
見慣れない文字、そして「スポーツトレーナー」が自分に感じさせる悪寒。
それが現実になるまでには1時間半経過しないとわかりませんでした。

祈り

1stステージにて朝食を取り損ねていたので、今回はお腹を満たす為にガッタスカフェへ。窓の外に拡がるピッチには、眩しく輝くオレンジ色のユニフォームが元気に飛び出してきます。心配していた#25(武藤水華)も笑顔でそこにいました。オレンジの中でいつも通り黙々とボールを拾う紺色(紺野あさ美)も。


あの悔し涙を乗り越えたんだよね。
今度こそは、きっと。


ライン際でじっと成り行きを見守っているエッグメンバー4人が、暑さの為にサンバイザーを付けていました。

初戦

JALチームの仕上がりの良さを見届け、初戦相手の“BUONE CONDIZIONI”がアップを開始します。


…上手い。
チーム名のイタリア語を訳すと「グッドコンディション」となる、トレーナー仲間で結成された集団。フットサルやスポーツジムにも関わりを持ち、体格はこぢんまりしているが足腰とプレーの確実さが全員しっかりしています。ユニフォームは急造した感じの強い濃青でしたが、軸のぶれない動きは驚異でした。


一方のガッタス
勝ちたいキモチを静かな闘志に変え、ゴールを目指す姿勢をアップ時間に費やします。
ゴール前でメンバーのキックの威力を確かめる守護女神だけでなく、エンドライン際では緑のビブスを付けたゴレイロがもう一人。#18(澤田由梨)は頻りに斉藤涼子コーチからボールを受け取り続けます。出番はあるのでしょうか。


始まる。
ピッチ上の円陣を煽るサポーター。それを感じたキャプテン(吉澤ひとみ)が、更に声を出して欲しいとばかりにこちらを煽り返す。ピッチ上はガッタスの勝利を願う唸り声しか聞こえない。

  • 後半 柴田・藤本・是永・吉澤・紺野
    • 4分 藤→石、吉→里
    • 5分 是→武
    • 6分 混戦から失点、石→吉
    • 7分 里→藤

開始早々から得点を重ねる#7(是永美記)。しかし2点目を右サイドからシュートしたとき、不自然な動きをしそのままベンチへ。右足首をアイシングし続けながらもピッチから目を離さないストライカーに、並々ならない魂を感じました。
それにしても動きがどちらも激しい。BUONEがかわしていこうとすると必ずガッタスはフォローが入る。当たり負けもしない。#3(柴田あゆみ)の動きは1stの時かそれ以上に切れています。#6(藤本美貴)、ケガをプレーに出さない#7を中心にパス・ドリブル・ポジショニングが瞬時に判断できています。ゴールクリアランスも迷いがなく、狙った所にボールがすっぽり収まっていきます。
サポーターの声も大きく団結していました。


試合開始前、後ろで「あれは?」という声が聞こえたのでゴール裏の通路を観てみると。
斉藤瞳さんとみうなさんが。
ガッタスの絆の強さ、太さ、深さを確認できました。
サポーターの声を大きくさせるには偉人達の存在もかなり影響していたと思われます。


逃げ切って欲しい…、そう思った瞬間#12の脇をボールが通過。2-2同点にてホイッスル。
やっぱりこのチームは強かったです。個人技はかなりのドリブルと確実性をもっていましたが、急造チームなだけにパス回しに若干安定性がありませんでした。初戦ということもあったのでしょう。
ガッタスはやはり手応えを感じていたようですが、#12の失点に責任を感じる表情に向上心を感じました。

奇跡の後で

第3試合は劇的に手に汗を握る勝負。3-3のドローという結果だけで流すことのできない好ゲームになりましたが、それがかえって直後の試合に好影響をもたらしたかもしれません。ロスタイムで追いついたJALに感動しました。
相手は講談社チーム「team ViVi」。キャプテン#7、#2、#1(GK)が経験者の動きを見せますが、あとはまだボールの扱いに難があります。

気温もかなり高く、監督代行を務めたアマラオコーチは選手に負担をかけないようそして流れを切らないよう、選手をこまめに替えてきます。
相手がそれほど攻めてこれないとの判断からなのか、後半に新生ゴレイロのピッチデビューが。スタンドはほとんど気づいておらずこぼれ球をキャッチするまで交代に感づけませんでした。
チーム間のレベルの差は歴然だったのですが、新人に負担をかけまいとボールを相手のボールをことごとくカットしていくメンバーに攻撃機会は訪れず、結局2-0にて終了。
この時点で勝ち点4。この後の試合でBUONEとViViか対戦するので、得失点差を考えるともう少し点を取っておくべきだったのですが。それでも試合に余裕を持って挑んでいるガッタスは久しぶりに観ました。

1年半

結局トレーナーBUONE対講談社ViViは前後半5点づつの10-0で圧倒的な試合展開。しかし最後までボールを追いかけるViViチームは賞賛に値します。
よってBUONEは1勝2分で勝ち点5。SAMURAI CREWJAL)とGatasは1勝1分で共に勝ち点4です。どちらか勝った方が優勝、敗れれば3位。引き分ければBUONEが得失点差で優勝という大一番に最終試合はあてがわれました。
この試合の意味を、ピッチレベルもスタンドも痛いほど分かっています。でもアップ時のガッタスメンバーは1stの時のように引き分けでもOKという状況とは異なり、必ず勝ちを修めるという凛々しいスタンスを貫いています。
それを感じたサポーターは、彼女たちに割れんばかりの声援を。
祈りを込めて。

もう試合展開なんて覚えていません。里田さんの地を這うようなグラウンダーミドルはわかるのですが…。
前半で2点を取っていても、後半に守りの姿勢を全く見せず押しまくる彼女たちに、何かしら叫んでいたことをノドの痛みで気づかされます。


そして…。


天高く突き上げた拳。
待っていたこの瞬間。
笑顔。
笑顔。
涙。
笑顔。


みうなさんと斉藤さんのところへ駆け寄るメンバー。斉藤さんも柴田さんも里田さんも泣いています。
自分も泣いていたと思います。
閉会式でやっと我に返り、そこで紺野さんも泣いていることに気づきました。

言葉

3チームは退場し、各メンバーがそれぞれコメントを。
その中でも柴田さんが発した言葉。


「フットサルを辞めなくてよかった。続けてこれて良かった。」


柴田さんのこれまでの思うようにいかなかったフットサル生活を思い出すと、これほど重みを感じるものは無かったです。

サッカー素人ですが

メンバーは総じて動いていました。焼け付くような暑さやお台場の試合が最後というプレッシャーも受け入れ、自分はチームのために何ができるのかを瞬時に判断して行動できていましたね。
1stで不安だった石川さんの動きも、持ち前である“天性のポジショニング”が何度もチームを有利な展開に持ち込んでいました。藤本さんもこれまで封印していた強い当たりも最終戦で炸裂していましたし、武藤さんの切り込みも点にはならずとも切れ味が良かったです。
守備面でもマークがぴたりとつき、それへの指示も落ち着き払ったGK紺野さんを中心として的確に行われていました。
得点は是永さんの5得点となりましたが、最後に触れたのが彼女であっただけでそこまでの連携も迷いの無い各人のプレーから生まれたものばかり。楽しませてくれました。


これまで観戦してきたガッタスの中でも、抜群に観ていて“強さ”を感じさせる大会となりました。

もう一度

Gatas優勝おめでとう!!!


ガッタスメンバーは私たちの誇りです。
そして卒業していったメンバーも同等です。あなた達が会場に足を運んでくれたからこその勝利でしたよ。
みうなさん、斉藤さん、ありがとうございました。

これから

ガッタスに今年から新加入したBerryz工房℃-uteエッグメンバーが勢揃いして試合をしたわけではありません。ほとんどが昨年から残っているメンバーによってもたらされた栄冠です。
チームとしては新たな風によってさらなる発展のために建て直しをしなければなりません。どんなチームに成長していくのか楽しみに待ちたいです。



半年前、こういうワクワクを感じたいが為に、自分は更新停止していたこのブログを復活させました。
若干達成感により燃え尽きそうになってしまいそうでしたが、まだ終わりのないガッタスの未来にこれからも声援を送り続けたいと決心しています。